輪状甲状間膜切開と経皮的気管切開及び外科的気管切開との比較
輪状甲状間膜切開


輪状甲状間膜切開について


輪状甲状間膜から気管内へアクセスする方法です。

輪状軟骨と甲状軟骨の間にある輪状甲状間膜(輪状甲状靭帯)を

切開して、気管カニューレなどを留置します。

外科的気管切開や経皮的気管切開に比較して、より速やかに処置が

出来るため、緊急性の高い場合に実施されています。

*喀痰などの吸引目的で実施される場合もあります。


 

大まかな手順 例


気管カニューレが挿入されるまでの大まかな手順 例

(キットを使用する場合:セルジンガー法)

 

*取り扱う医療機器などにより手順・手技は多少異なります。

 

皮膚の小切開

  ↓

専用の針で輪状甲状間膜(輪状・甲状靭帯)を穿刺

  ↓

穿刺針内にガイドワイヤーを通し、気管内に挿入

  ↓

穿刺針だけを抜く

  ↓

ガイドワイヤーに沿ってダイレータ(拡張子)を挿入し、切開口や

穿刺部分を拡張

  ↓

ダイレータだけ抜く

  ↓

ガイドワイヤーを介して、気管カニューレ(イントロデューサ付

き)を気管内へ挿入

  ↓

ガイドワイヤーとイントロデューサを抜く

 

輪状甲状間膜切開の方法には、大別すると経皮的な切開(セルジン

ガー法など)と外科的な切開があります。

セルジンガー法では、皮膚に小切開を加えたあと、留置針などで輪

状甲状間膜(輪状甲状靭帯)を穿刺します。

ガイドワイヤーと専用の拡張器具を利用して、穿刺部分を拡張した

あと、ガイドワイヤーを介して気管カニューレ(輪状甲状間膜切開

用の専用チューブなど)を挿入します。

 

外科的切開は、皮膚切開後、輪状甲状間膜(輪状甲状靭帯)を直接

切開し、切開口から気管カニューレを直接挿入します。

 

*外科的な輪状甲状間膜切開の場合は手順はより短くなります。

*医療機関や医師、取り扱う医療機器などにより手技、手順は異な

ります。又、患者さんや病態によっても多少異なる部分もあると思

います。

*メーカーにより、使用する機器や呼称などは多少異なります。

 

◆ メ モ ◇~~~~~~~~~

輪状甲状間膜切開と経皮的気管切開及び外科的気管切開との比較

皮膚の切開部や穿刺する部分が違います。

皮膚を切開する長さや、孔の大きさも違います。

輪状甲状間膜切開の方が切開(穿刺)孔が小さいため、気管カニュ

ーレ(輪状甲状間膜切開用の専用チューブなど)の大きさも細くな

ります。

気管の切開部位から挿入される気管カニューレは太く、カフ付きの

ものが多く使用されています。

輪状甲状間膜は皮膚に近く、重要な神経や血管がより少ないため、

外科的気管切開や経皮的気管切開に比較すると、気管へのアクセス

がより短時間で低リスクに実施できます。

欠点としては、気管切開よりも気道狭窄が起こりやすく、十分な換

気が得られないこともあります。長時間続くようであれば、外科的

気管切開又は経皮的気管切開に移行します。

 

経皮的とは?

皮膚を通しての意味。

通常の外科的処置では、処置する部分がよく見えるように皮膚だけ

ではなく、中間組織(皮下脂肪や筋膜、筋など)、処置する部位も

切り開きます。その為、出血や感染などのリスクが高くなります。

一方、経皮的な処置では、医療機器が通る程度の切開又は穿刺を、

皮膚に加えます。医療機器を挿入し処置します。

例としては、経皮的腎砕石術、経皮的骨接合術などがあります。

看護師などが実施している注射などは、経皮的穿刺になります。

血管内にカテーテルを挿入して経皮的に処置をする方法には、経皮

的血管拡張術や経皮的大動脈弁置換術、などがあります。

 

輪状甲状間膜切開で使用される気管カニューレ

通常の気管切開で使用される気管カニューレよりも細くなります。

カフはついていません。

輪状甲状間膜切開に使用するキットなどについて

各メーカーから輪状甲状膜切開キットや穿刺キットが販売されてい

ます。

セルジンガー法(経皮的な処置)には、ミニトラックIIセルジンガ

ーキットやメルカー緊急用輪状甲状膜切開用カテーテルセットなど

があります。

簡易な外科的処置や直接穿刺には、ミニトラックIIスタンダードキ

ットやVBM小気管切開チューブクイックトラック などがあります。

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続きはこちらです⇒ 輪状甲状間膜穿刺

気管切開項目一覧




呼吸器管理・ケア 項目一覧


サイト内コンテンツ



◇参考文献

書籍

「気管切開-最新の手技と管理」 改訂第2版 p118~p127

「人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p128

「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」MCメディカ出版 p111~p119  

「続まんがで見る手術と処置」p36~p39


インターーネット

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構HP内

トラヘルパー

www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/480273/15300BZZ01424000_A_03_01/

ミニトラックII

www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/530361/16100BZY01369000_A_01_05/

VBM 小気管切開チューブ

www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/530361/21200BZY00405000_A_01_04/

気道アクセス用デバイス (輪状甲状膜切開用カテーテルA)

www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/250288/20300BZY00356000_G_03_01/20300BZY00356000_

G_03_01?view=body


ウィキーペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/カテーテル