●気管壁の圧迫
血行障害(虚血)に伴う合併症
浮腫や潰瘍形成、出血、壊死、穿孔、肉芽形成、気管食道瘻、抜管
後の気管狭窄、など
●カフのシワによる合併症
シワが大きいとエアリークのリスクが高くなります。
さらに、誤嚥の量も多くなります。
シワ自体による気管粘膜の損傷(穿刺、出血など)の可能性
もあります。
*カフ圧が低いとシワの数が増えたり、シワも大きくなるため、
適正な圧の範囲に調節することが大切になります。
●気管の拡張
気管チューブの挿入期間が長いと、カフの圧力で気管が拡張し、
エアリーク、誤嚥の増加、気道粘膜の乾燥などのリスクが高まります。
気道粘膜の乾燥は痰を硬くし、気道を閉塞するリスクがあります。
☆気管チューブ挿管時のカフ圧の管理では、肺胞内での円滑なガス
交換と気道粘膜損傷の防止、不顕性誤嚥の軽減(肺炎の防止)の為
の調節が重要になります。
◆メモ◇~~~~~~~~~~
気管壁にかかる圧とカフ圧について
カフ圧と気管壁にかかる圧の数値は同じではありませんが、カフ圧
が、高くなると気管壁にかかる圧も比例して高くなります。
カフ圧を計測することで、気管壁にかかる負担やエアリークの有無
を把握する目安になります。
個人差(気管径や身長など)や気道の状態、体位、体動などにより
気管壁にかかる圧も一定ではありません。気管径とカフの大きさや
材質、形、気管チューブの太さなどにより、カフと気管壁の接触面
積や圧も変化します。
カフ内空気の自然リークや気道の変化(気道内圧の変化、気管の拡
張や狭窄など)、体動、体位などでカフ内圧も変化するため、定期
的、又は、必要に応じて計測し調節する必要があります。
エアリークをしない最低限の圧が、適正な圧を超えている場合
もありえると思います。反対に適正な圧以下でもエアリーク
しない場合もありえると思います。エアリークしない圧が、
高すぎたり低すぎたりした場合は、合併症の有無やカフの
状態などを確認する必要があります。
☆カフ圧で気管が拡張した場合は、エアリークや肺炎のリスクが
高まります。気管径とカフ径や気管チューブの外径が合わなく
なると、カフ圧を上げてもエアリークを防止することが出来なく
なります。
気管内チューブの挿入期間 目安
経口挿管の場合は、1~2日
経鼻挿管の場合は、2~3週間
緊急時や一般的な手術の場合は経口挿管が第一選択になります。
経口挿管が困難な場合や長期の呼吸管理が必要な場合は、
経鼻挿管になります。
それ以上続く場合は、気管切開など他の方法での呼吸器管理が必要
になります。
*患者さんの状態により挿入期間や呼吸管理の方法は異なります。
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続きはこちらです→ カフシリンジ
◇参考文献
書籍
「ロールプレイで学ぶ 呼吸ケア・呼吸管理のキーポイント」 p124~p129メディカ出版
「写真でわかる臨床看護技術② 呼吸・循環・創傷ケアに関する看護技術を中心に!」 p63~p73インターメディカ
「はじめて人工呼吸器」p12~p17 メディカ出版
「ナース必携最新基本手技AtoZ」p55~p60 EXPERT・NURSE
「器械的人工呼吸マニュアル」ナース専科」 p28~p30 文化放送ブレーン
「続カラー版マンガで見る手術と処置」 p36~p39 小学館
「最新医学大辞典」p279 (医歯薬出版株式会社)
「イラスト救急処置マニュアル」南江堂
「気管吸引のガイドラインを完全準拠 わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド」 p9~p12メディカ出版
「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」 p106~p111 p130~p140 MCメディカ出版
インターーネット
医薬品医療機器情報提供ホームページ内
ハイ・ロー・ハンドカフ圧ゲージII
//www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/13B1X00069VB001A_A_08_01/
自動カフ圧コントローラ
//www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/13B1X00069VB002A_A_02_01/